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連載コラム~組織の潜在能力を引き出すために~【第13回】時間感覚

2019.8.10  組織開発

これまで多くのビジネスパーソンの方々と接してきて、ハイ・パフォーマーとロー・パフォーマーの違いは、一つには「時間感覚」にあると感じています。

ハイ・パフォーマーは、顧客・上司からの依頼事項、会議での決定事項など、取り組むべきことが出てきた場合、即座に計画を立て、段取りを組んで動きます。

一言でいえば、

初動が速い

ことが共通しています。

結果、早期に業務を終えることができ、想定外のトラブルが生じても納期までに仕事を間に合わせることができます。

逆にロー・パフォーマーは、課題を先送りする傾向にあり、なかなか動きません。仕事・課題が溜まって処理に追われることとなり、中途半端な対応しか取れず成果が出ない・納期に遅れるといった事態が頻発します。

そして、モチベーションが低下して、さらに対応が後手後手に回る・・・という悪循環に嵌る傾向を感じます。


これは、企業組織全体においても同じことが言え、「時間感覚」が競争力の違いを生み出しています。

創業以来、毎年20%以上のアップを果たしてきて現在2,328億ドルの売上を誇るアマゾン。
強烈な成長を続けており、恐らくこの勢いはしばらく止まることはないでしょう。

この秘訣は二つのことのようです。

一つが、「カスタマー・エクスペリエンス」。
シンプルに言えば、“顧客視点に立ち、満足・感動いただけるかどうか?”を判断基準にして、仕事を行う・意思決定する風土にあります。

そしてもう一つが「時間感覚」です。

商品配送も、「当日配送」どころか「最短1時間配送」までやってのけていますが、全てにおいて早いようです。

アマゾン出身者の佐藤将之さんは書籍の中でこのように述べておられます。

「新卒でセガに入社したのだが、客観的に考えて、当時のセガの仕事のスピードは速い方であった。ただアマゾンはレベルが違った。セガで1週間の納期を貰える仕事を、アマゾンでは今日中に行わなければならなかった。」と述べておられます。

組織内の決裁・意思決定も速く、10億円の予算規模のことが2日で決裁されたこともあるそうです。

また、PDCAの管理サイクルも短いのが特徴です。

通常の企業では、PDCAのCA(進捗確認~改善案の検討)⇒P(修正計画決定)を行う会議などの機会は1ヶ月単位です。

アマゾンは、「月」ではなく「週」です。1週間に1回、CA⇒Pを行い高速でPDCAを回しています。


本格的な人口減少社会を迎え、多くの業界でこれから淘汰・合併が始まっていきます。

デジタル技術の進化により、「デジタル・ディスラプション」と言われる既存ビジネスモデルの陳腐化・破壊もより進んでいくことでしょう。

こうした環境下で何が勝負を分けていくかと言えば、やはり経営陣・社員の「時間感覚」にあると思います。

過去のコラムでも紹介しましたが、IBMの実質創業者のトーマス・ワトソン・ジュニアが、「成功したいなら、失敗を2倍の速度で行うことだ。成功は失敗の向こう側にあるのだから」と述べています。

これからの時代、社員・組織の「時間感覚」を変え、スピーディーにPDCAを回して成果を掴んでいく体質にすることが、本質的な課題であると感じています。

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Author 執筆者

志水浩

志水浩

株式会社新経営サービス 専務執行役員 統括マネージャー

組織開発・教育研修コンサルタントして30年以上のキャリアを有し、上場企業から中小企業まで幅広い企業の支援を実施中。また、研修・コンサルティングのリピート率は85%以上を誇り、顧客企業・受講生からの信頼は厚い。 弊社、人材・組織開発部門、総責任者。