今回は「1on1ミーティング」における必須スキルの一つ、フィードバックについてお伝えします。
フィードバックとは「部下(相手)の言動に関して、自分が感じた印象や感想を本人に伝えること」を指します。部下が自分の現状や周囲への影響度合いを把握し、長所伸展・短所改善に向き合うためのサポートが目的です。
よって、ここに上司の私心が入ることは好ましくありません。あくまでも部下のためであり、真に成長を願う動機からの行為と言えます。
またフィードバックをいう言葉を耳にすると、多くの方々が改善に向けたマイナスのフィードバックを連想されます。もちろん状況に応じてこれは必要です。しかしそれだけではなく、長所や善行にも着目し、プラスのフィードバックも心掛けるべきでしょう。
フィードバックを行う際の具体的なポイントとしては、以下のような点が挙げられます。
■3つの観点をおさえる ~ 「場面」「行為(言動)」「影響」
フィードバックは、シンプルに3つの項目を伝えることで成立します。まずは「どのような『場面』でのことか?」、二つ目は「どのような行為のことか?」、最後は「どのような影響を与えたか?」という3点です。
例えば、次のようなフィードバックを行ったとします。
・君が会議中に ← 会議という「場面」
・参加者の発言内容を板書してくれたね ← 板書という「行為」
・それによってみんなの理解が促進され、会議がスムーズに進んだよ
← スムーズに進んだという「影響」
この場合、3つの観点をおさえることで、プラスのフィードバックが成立しています。
■「Iメッセージ」を活用する
「Youメッセージ」という相手を主体にした表現がありますが、時に自分を主体にした「Iメッセージ」を活用することで、上司の言葉にインパクトを与えることが出来ます。
<例>
・Youメッセージ → 「君、成長したねぇ…」
・Iメッセージ → 「君が成長したことで、私は本当にうれしく思うよ」
フィードバックされる部下の側にすると、「Iメッセージ」で伝えられる方が自分の言動などが上司の心に響いた感が強く、部下本人もうれしさや反省の感情が増すという作用が働きます。
■言葉の定義を一致させる
お互いの言葉の定義(何を指しているのか)が一致していない状態もあり、時にフィードバックしても話がかみ合わないことがあります。
「相手が受け止めた内容が、コミュニケーションの結果である」と言われます。コミュニケーションを取る際に“どう伝えるか”は重要です。しかし時には“どう伝わっているか”ということに、より意識を置き、自分の意図が正しく理解されているかを確認することも必要です。
■フォローを忘れない
上司がフィードバックをした後、その内容を時間の経過と共に忘れてしまっている、ということが意外に多くあります。しかし、フィードバックされた部下はその内容を念頭に置き、伸展や改善に向けた活動を行います。
上司がそれを意識せず、取り組みのフォローをしなければ指導としては不十分でしょう。そしてこのような状況になると、上司と部下の信頼関係が損なわれ、部下のモチベーション・ダウンも懸念されます。
人の成長には様々な「気づき」が必要です。しかしその「気づき」は、プラス・マイナスに関わらず、他者から伝えられることで得られる「気づき」が大半です。だからこそ、フィードバックすることが重要となります。
以前、私はこのような言葉を教わりました。「フィードバックしないことは罪である。フィードバックしない上司は悪である」。この言葉にフィードバックの重要性が集約されていると痛感させられました。
以上のことから、皆さんも「1on1」で事の大小を問わず、感じたことを部下の方々にフィードバックし、成長へとリードしてあげてください!