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連載コラム~心を開き、信頼を高めるコミュニケーションの場~【第5回】『1on1 ミーティング』の効果的な進め方 フィードバック

2019.9.30  1on1ミーティング

今回は「1on1ミーティング」における必須スキルの一つ、フィードバックについてお伝えします。

 

フィードバックとは「部下(相手)の言動に関して、自分が感じた印象や感想を本人に伝えること」を指します。部下が自分の現状や周囲への影響度合いを把握し、長所伸展・短所改善に向き合うためのサポートが目的です。

よって、ここに上司の私心が入ることは好ましくありません。あくまでも部下のためであり、真に成長を願う動機からの行為と言えます。

 

またフィードバックをいう言葉を耳にすると、多くの方々が改善に向けたマイナスのフィードバックを連想されます。もちろん状況に応じてこれは必要です。しかしそれだけではなく、長所や善行にも着目し、プラスのフィードバックも心掛けるべきでしょう。

 

フィードバックを行う際の具体的なポイントとしては、以下のような点が挙げられます。

 

■3つの観点をおさえる ~ 「場面」「行為(言動)」「影響」

フィードバックは、シンプルに3つの項目を伝えることで成立します。まずは「どのような『場面』でのことか?」、二つ目は「どのような行為のことか?」、最後は「どのような影響を与えたか?」という3点です。

例えば、次のようなフィードバックを行ったとします。

君が会議中に ← 会議という「場面」

参加者の発言内容を板書してくれたね ← 板書という「行為」

それによってみんなの理解が促進され、会議がスムーズに進んだよ 

        ← スムーズに進んだという「影響」

この場合、3つの観点をおさえることで、プラスのフィードバックが成立しています。

 

■「Iメッセージ」を活用する

「Youメッセージ」という相手を主体にした表現がありますが、時に自分を主体にした「Iメッセージ」を活用することで、上司の言葉にインパクトを与えることが出来ます。

<例>

・Youメッセージ → 「君、成長したねぇ…」

・Iメッセージ → 「君が成長したことで、私は本当にうれしく思うよ」

フィードバックされる部下の側にすると、「Iメッセージ」で伝えられる方が自分の言動などが上司の心に響いた感が強く、部下本人もうれしさや反省の感情が増すという作用が働きます。

 

■言葉の定義を一致させる

お互いの言葉の定義(何を指しているのか)が一致していない状態もあり、時にフィードバックしても話がかみ合わないことがあります。

「相手が受け止めた内容が、コミュニケーションの結果である」と言われます。コミュニケーションを取る際に“どう伝えるか”は重要です。しかし時には“どう伝わっているか”ということに、より意識を置き、自分の意図が正しく理解されているかを確認することも必要です。

 

■フォローを忘れない

上司がフィードバックをした後、その内容を時間の経過と共に忘れてしまっている、ということが意外に多くあります。しかし、フィードバックされた部下はその内容を念頭に置き、伸展や改善に向けた活動を行います。

上司がそれを意識せず、取り組みのフォローをしなければ指導としては不十分でしょう。そしてこのような状況になると、上司と部下の信頼関係が損なわれ、部下のモチベーション・ダウンも懸念されます。

 

人の成長には様々な「気づき」が必要です。しかしその「気づき」は、プラス・マイナスに関わらず、他者から伝えられることで得られる「気づき」が大半です。だからこそ、フィードバックすることが重要となります。

以前、私はこのような言葉を教わりました。「フィードバックしないことは罪である。フィードバックしない上司は悪である」。この言葉にフィードバックの重要性が集約されていると痛感させられました。

 

以上のことから、皆さんも「1on1」で事の大小を問わず、感じたことを部下の方々にフィードバックし、成長へとリードしてあげてください!

 

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Author 執筆者

岡野隆宏

岡野隆宏

株式会社新経営サービス 人材開発部 シニアコンサルタント

広告会社、研修会社にて人事・教育に関する実務を担当。 その経験を基に、現在は「社員のモチベーション向上」をテーマとして主に中堅・中小企業の組織・人材開発を展開中。クライアント企業に対する研修のみならず、外部団体での講演も精力的に行っており、受講者からは「わかりやすく、現場経験に基づいた話に説得力、納得感がある」と定評がある。