成功体験は、私たちがビジネスの世界で成果をあげるためにも、人生を有意義に過ごしていくためにも不可欠な要素です。
しかしながら、光が差せば影が生まれます。光が強ければ強いほど、影が濃くなります。
世の中の多くの事柄は、プラスの要素のなかにリスクが内在する「光と影の法則」で形成されています。
成功体験も例外ではありません。
画家のピカソが、次のような言葉を遺しています。
「成功は危険だ。自分の成功をコピーし始めてしまう。それは創造性の不妊を招く。」
成功体験が、新しい発想・知恵を生み出すことを妨げてしまうというのです。
成功を収めたことによって冷静な判断力を失い、状況が変化しても同じことを繰り返し、転落への道を突き進んでいく。
ピカソは、このように「成功のダークサイド」(負の側面)について述べています。
現在、AIをはじめとした様々な技術革新が起きており、500年に1度の変革期を迎えているとも言われます。
これからの時代は、ほぼ全ての業種・業界のビジネスモデルの変化が加速していくことでしょう。
こうした時代に、会社も人も成果をあげ続けるには、「過去の成功体験に基づいた無意識に行っている思考・行動を、環境変化に合わせて書き換える習慣を獲得できるか否か」が重要なファクターとなります。
本書では、第1章で成功体験の負の側面を、実在の企業や人物の事例を交えて4つの観点から解説しています。
第2章では、なぜ成功体験の負の側面が生じてしまうのか、心理学・組織運営の仕組みなどから要因を確認します。
第3章は、業界・組織・個人の成功体験に疑問をもち、変革を進めて次の成功を獲得した事例を紹介します。
そして第4章では、成功体験に縛られることなく、成果を上げ続けるリーダー、ビジネスパーソンとなり、後進育成を図るポイントを確認します。
最後の第5章で、変革を続けられるチーム・組織づくりの要諦を述べます。
「強い者が生き残るわけではない。また賢い者が生き残るわけではない。変化できる者が生き残る」。
進化論を唱えたダーウィンの話として引用される適者生存の法則は、企業にも個人にも当てはまることとして理解されています。
しかし、実際に変化し続けることができる人は多くはありません。
その変化を阻む大きな要素が成功体験です。
本書は、成功体験から生じる影の側面を解消し、読者の継続的な成功獲得の一助となることを願って執筆しました。
ご興味をお持ちいただければ、手に取っていただければ幸いです。
著者 | 株式会社新経営サービス 執行役員 統括マネージャー 志水 浩 |
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出版社 | あさ出版 |
定価 | 1,540円 |
本書の構成
- 第1章 成功の逆襲 ~成功体験がもたらす弊害~
- 第2章 なぜ成功体験のダークサイドが生じるのか?
- 第3章 ダークサイドを乗り越える“鍵”
- 第4章 ダークサイドの向こうにある未来を創る