コロナ禍の影響で、VUCAワールドが加速するといわれています。
VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の4単語の頭文字をとって称される言葉です。
元々は軍事用語からきており、シンプルにいえば“変化が激しく、予測困難な状況”を指しています。
21世紀に入った頃のIT革命といわれた時代に、人間の7倍の速度で年齢を重ねる犬に例えて、1年で昔の7~8年分の変化が生じる時代に入ったことを「ドッグイヤー」といいました。
昨今では、同様の文脈で、1年で昔の18年分の変化が生じる「マウスイヤー」になっているといわれたりもします。
また、「2年間で起こるデジタル変革が、コロナ禍の2カ月間でなされた。」マイクロソフトのCEOがこんなコメントもしていましたが、この厄災を機に、より変化のスピードが速い時代に移行していきます。
話は変わりますが、ソフトウェア開発の話を紹介します。
ソフトウェア開発は、従来はウォータフォール型開発という手法が主流でした。
シンプルにいえば、ソフトに求める要求(要件定義)を細部まで検討して確定したのちに、順次、ソフト開発の工程プロセス(設計・実装・テストなど)を進めていく手法です。
PDCAサイクルで評すると、じっくりとPLANを検討する。時間をかけてスコープ(目標)を明確化したのちに、緻密な計画を策定して、リスク分析も行い完璧なPLANを練り上げてから、DOを行うようなイメージです。
ただ、この開発手法のデメリットとして、顧客要求・市場ニーズの変化、また技術進化に対して臨機応変な対応が取りづらいことが挙げられます。
そこで、新たに登場したのがアジャイル開発です。
とりあえず“動く”ソフトウェアを開発してリリースする。そして、そのソフトウェアを開発チーム内で客観的に検討する、もしくは顧客と対話を行う中でブラッシュアップ・追加機能を決定する。
決定した内容を踏まえてスピーディーに開発してリリース。そしてまた評価を受けてブラッシュアップ・追加機能を決定する。
このような形で、開発⇒リリース⇒改善のサイクルをスピーディーに何度もまわしていくことで、柔軟に要望や変化を取り入れて「使える」ソフトを創り出すという手法です。
コロナ禍が落ち着きを見せ始めていく中で、多くの企業や事業部において戦略・経営計画の見直しが図られるものと思われます。
私が知る限りにおいては、これまで戦略・経営計画の策定・運用においては、ウォータフォール型の企業が多かったものと思います。
ただ、これからは変化が激しく、物事が目まぐるしく動いていきます。
戦略・経営計画をじっくり練り上げてから動く、というようなことでは「動き始めたら前提となる環境が変わっていた」という事態が生じてきます。
今後は経営陣から一般社員までマインドセットを変えて、“動きながら”“市場と対話しながら”徐々に的を射た戦略・経営方針を炙りだしていく、『アジャイル型運営』に切り替えていく必要があるのではないかと考えています。