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連載コラム~変革リーダーシップの発揮~【第6回】経営陣と現場の融合

2021.7.7  変革リーダーシップ

前回のコラムにおいて、中期経営計画の浸透が図られず、いわゆる“絵に描いた餅”状態になっている企業事例を紹介しました。

 

そして、そのような状態に陥っている原因として、

 

・なぜこの中期経営計画を実現する必要があるのか?

・社員にとって、どんな価値があるのか?

 

一言でいえば「意味づけ」が十分になされていないことを確認いただきました。

 

人は、他の動物と違って意味を求める動物です。

 

そのことに意味が感じられれば、障害や困難があっても、それを乗り越える努力を継続していきます。

逆に意味が感じられなければ、いくら上位者から強制されても、実行するスキルをもっていてもモチベーション高くは動きません。

 

私たちは、方針を打ち出す際、WHAT(何を)とHOW(どんな方法で)は語り、記載します。

 

しかし、思うように動いてもらうには、

 

WHAT(何を)・HOW(どんな方法で)

+WHY(なぜ行うのか)

 

が必要である。

 

要約すると、このような内容を述べていました。

 

~変革リーダーシップの発揮~ 【第5回】意味を求める動物|人材・組織開発サービス【株式会社新経営サービス】 (skg-od.jp)

 

 

今回は、どのように経営計画・方針の意味づけを社員・現場に図ればよいのか?

私共で推奨している「インテグレーション・ワーク」という手法を2回に分けてご紹介します。

 

インテグレーションとは、「統合」「融合」という意味です。

 

「経営陣の方針や事業運営に対する想い、その実現に向けた方向性について、参加者全員で対話形式(ダイアログ)のコミュニケーションを用いて語り合うことで、方針理解・腹落ちを促す」こととなります。

 

対象者はのちほどお話しますが、どの上下階層でも行えます。

ここでは最も一般的な経営陣-管理者層でのインテグレーション・ワークの流れを記載します。

 

時間は一日かけて行います。

人数は、双方向型のコミュニケーションを図ることになりますので、経営陣1~2名。管理者層10~20名程度までとなります。

 

手順としては、まず経営陣から、下記の内容を小一時間程度話していただきます。

 

1.経営陣方針・思い発表

 □自社を取り巻く現状~予想される環境変化

  ~市場規模・ニーズ、競合動向、技術革新、マクロ経済環境変化、内部資源変化

など~

 □今後の経営方針・事業運営に対する思い

  ~理念・信条、事業領域、戦略(営業・商品・技術など)、組織運営(人材調達・組織編制・組織の関係性・種制度など)など

 □参加者に対する要望

  ~マインド(心の姿勢)、スキル強化の方向性、求められる言動など~

 

お話いただいたあとは、経営陣にはしばらく退席を願います。

その後、管理者が一組四人程度のグループに分かれます。この際、可能な限り部門の異なるメンバーでグループ編成を行います。

 

グループに分かれたあと、

 

2.グループ討議Ⅰ「経営陣に聞きたいこと」

 

を実施します。

 

「経営陣に聞きたいこと」というテーマで、前記『1.経営陣方針・想い発表』のなかで、経営陣に「より掘り下げて聞きたいこと」「関連することでこの機会に確認したいこと」を、各自が付箋紙一枚に一つの質問を記入します。

【質問例】

「経営-現場のコミュニケーションの充実を図るとは、具体的にどのようなことをお考えか?」

「競合他社が取り組み始めた○○販促手法についての見解は?」

 

その後、グループメンバー全員で、順に付箋紙に書いた内容を発表します。

この際、ホワイトボードや模造紙を使用して、類似した質問内容(付箋紙)をグルーピングしながら体系的にまとめます。

 

時間の制約があるため、すべての質問について経営陣と対話することはできません。

グループメンバーの総意で優先度の高い質問事項を三つ選抜していただきます。

仮に、4グループいれば4×3=12の質問となります。

 

続いて、

 

3.グループ討議Ⅱ「方針・想い実現にあたって提案したいこと」

 

というフェーズに入ります。

 

先の『1.経営陣方針・想い発表』で話された内容を現実のものとするために、全社的にどのようなことを行うべきか? 各自が付箋紙一枚に一つの提案内容を記載し、複数作成します。

 

【提案例】

××商品との相乗効果が得られる、△△商材の導入を図る」

「社内連携を強化するために、部門横断型の課題を解決する場づくりを、まず□□形式でつくり、運用を行う」

 

あとは、グループ討議Ⅰと同じ流れで、グループの総意で優先度の高い提案事項を三つ選抜します。

 

最後に、

 

4.グループ討議Ⅲ「方針・想い実現にあたって、我々ができること・すべきこと」

 

を行います。

 

『1.経営陣方針・想い発表』を具現化するために、管理者層全員が個別に、もしくは協働して実施すべきことを個人別に検討します。

内容を共有後、相互に案をブラッシュアップして、優先度の高い施策を三つ選びます。

 

5.グループ討議Ⅰ~Ⅲの記載内容の貼り付け

 

三つのグループ討議終了後は、各討議で三つ選抜したものをマジックでA3用紙に記入して壁に貼り付けます。

グループで3テーマ×3枚=9枚なので、4グループの場合、壁には「経営陣に聞きたいこと」が12枚。「方針・想い実現にあたって聞きたいこと」が12枚。「方針・想い実現にあたってすべきこと・できること」が12枚。計36枚が壁に貼られた状態となります。

 

ここで、管理者層の皆さんは退席し、少し長めの休憩をとってもらいます。

代わりに、経営陣に入ってきてもらいます。

私共がファシリテーターを行う場合は私が行いますが、会社の方がファシリテーターとなる場合は、その方に壁に貼られた内容をわかる範囲で補足説明を経営陣にしていただきます。

 

では、長文になりますので続きは次回のコラムでご紹介します。

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Author 執筆者

志水浩

志水浩

株式会社新経営サービス 専務執行役員 統括マネージャー

組織開発・教育研修コンサルタントして30年以上のキャリアを有し、上場企業から中小企業まで幅広い企業の支援を実施中。また、研修・コンサルティングのリピート率は85%以上を誇り、顧客企業・受講生からの信頼は厚い。 弊社、人材・組織開発部門、総責任者。