早いもので今年も師走を迎え、一年が終わりを告げようとしています。
年末の大掃除に向けて、不要なものの整理を具体的にお考えの方もおられることでしょう。
この大掃除のような機会は、会社経営においても求められると私は考えています。
会社は通常、中期経営計画などさまざまな目標・計画を立案し、その実現のための課題・施策を社員で分担して、いわゆるPDCAサイクルをまわしていきます。
時間が経過すれば、経営計画を立案した際には起きていなかった環境変化が生じたり、今回のコロナ禍のような想定外のことも発生します。
こうした事態に対応するために新しい施策を追加しながら動いていきます。
そして、半期、一年で立案した経営計画をブラッシュアップする。
場合によっては抜本的な見直しを図り、新たな目標・計画に沿って動いていく。
このような運営がなされていきます。
ただ、この経営計画を基軸としたPDCAサイクルを継続的に回していく中で、時を追うごとに組織の動きが鈍くなっていき、計画推進力が落ちていくことがあります。
もちろん、この現象の原因はさまざまです。
・人手不足が生じて、現業を回すことに精一杯で手がまわらない
・DXを始めとした未知の分野へのチャレンジが多く、試行錯誤で前に進まない
なかには、
・社員の多くにおいて、経営計画を推進する意義が“腹落ち”できていないため、推進
するモチベーションが上がっていかない
こともあるでしょう。
しかし、これらのことより多い原因は、経営計画をしっかり時間をかけて綿密につくり、見直す企業ほど陥りがちなのですが、
やるべきことが多過ぎる
やるべきことの優先順位が付いていない
ことが推進力を鈍らせているように思われます。
目標数と業績成果の関係性を調査したある分析結果があります。
調査結果は、目標数が少なければ少ないほど、目標達成レベルが高く、業績成果が向上している。逆に目標数が多ければ多いほど、目標未達が増えて業績が低迷しているというものでした。
“やるべきこと”が多ければリソース(時間・予算・適正人材など)が分散され、全てが中途半端になることを物語っています。
また、“やるべきこと”の増加に伴い、プロジェクト・会議・報告書などの管理ツールも比例して増えていきます。
結果、社員は皆忙しく働いているのに、業績はどんどん下がっていくというような、笑えない状態に陥る会社もあります。
このようなケースも頻繁に生じたりもします。
数年前の経営計画に掲げたある目標・課題があります。
ただ今は環境も変化し、その目標は直近の経営計画から外れています。
しかしながら、その目標実現の為に社員に課した、労力のかかる業務が未だに時間をかけて行われ続けている。
目的は消えているのに、手段だけが機械的に続けられている。
こうしたことが現場で多く生じていたりします。
このような事態に陥らないため、私は年末の大掃除と同じように経営計画策定やブラッシュアップを行う最後の場面で、
「捨てる会議」
を行うことを推奨しています。
これまで掲げてきた目標・施策において、取り下げる・中止するものを明確に決めて、全社員に告知する。
さまざま行われている会議については目的を踏まえて、時間・回数を短縮する。場合によっては統合も行う。
報告書などの管理ツールも可能な限り簡素化して、無駄に社員が労力を要しないようにする。
経営計画策定・ブラッシュアップの機会であれば、社長といえども独りでは決めにくい部門横断型の問題を議論できるメンバーは揃っています。
このような機会を設けて、捨てるべきことは明確に捨て、その時点で為すべきことに社員が注力できる状態をつくることが求められます。