■チームビルディングとは
本連載のテーマは「チームビルディング」ですが、改めて「チームビルディング」とは何でしょうか。
チームビルディングとは、メンバーそれぞれが“主体的”に“個性や能力を発揮”しつつ、“協力し合って”、“共通の目的や目標の達成”に向かって進んでいくための組織づくりのことです。
仮に部署にメンバーが5人いるとして、個々が持てる力を発揮した状態を1とすると、
1+1+1+1+1=5の状態はただの人の集まりであり、チームとは言えません。合計が5ではなく、6や7やそれ以上になっている状態、相乗効果を発揮している状態がチームといえます。
そのような状態を作り出すために、リーダー及びメンバーが互いに尊重し合い、信頼し、協力できる関係性を作っていくプロセスがチームビルディングです。
■チームビルディングの事例
近年、チームビルディングへの関心が高まっており、実践する企業が増えてきています。
今回はその中でもユニークな、株式会社メルカリの取り組みを紹介します。
メルカリでは、創業当初から海外採用を行っていることもあり、入社したメンバーの相互理解を深め、定着・活躍してもらうために、Global Operations Team(以下GOTと略)という組織を立ち上げました。
GOTでは、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが大胆に働ける環境をつくるために、通訳や翻訳サポート、言語学習プログラムの開発のほか、組織内の多様なメンバーが対等に関わり合うための制度づくり、人材開発などを行っています。
そして、GOTのメンバー達が、「多文化・多国籍チームで、効果的・効率的かつ気持ちよく働けるチームをどう創るか」ということを考えた結果、以下のような施策が生まれました。
■「誰もつくったことがない料理」に挑戦!
まずは、4人×4チームに分かれ、各チームでワークショップ直前までに「どんなチームになりたいか」、「そのためにどんな戦略を用いてミッションに取り組むか」を話し合ってもらいます。
ワークショップ当日、各チームに取り組んでもらうミッションが発表されます。
なんとそれは、どのメンバーも作ったことがないであろう料理レシピを手渡し、時間内にチームで協力して料理を完成させてもらうというものです。
しかも、完成形の見本写真は1人30秒しか見られません。
参加者は、限られたリソース(時間や視覚情報)を駆使して、料理に挑みます。事務局に質問をする参加者もいますが、全て「自分たちで解決してください」と回答します。
誰も答えを知らない問題だからこそ、チームメンバー同士で話し合い、創意工夫をしながら進める必要があります。
完成した料理を食べた後は、振り返りの時間を取ります。ゴールに向かうためのチームのプロセスはどうだったのか?お互いにどんなことを感じたのか?気づいたのか?を共有します。
参加者からは、「誰も作ったことがない料理を作る」という課題を設定したことで、言語の壁にあったものの、お互いの考え方を理解しようと歩み寄り、耳を傾け、丁寧なコミュニケーションを取ることが出来たとの気づきを得られました。
チームビルディングというと、体感アクティビティや、コミュニケーションゲーム等を想像される方も多いかもしれませんが、上記の料理の例のように、手軽に楽しく取り組む方法もあります。
まずはあまりハードルを上げ過ぎず、手軽に取り組めるものから導入してみるのも良いでしょう。