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連載コラム~変革リーダーシップの発揮~【第7回】方針に魂を宿すには

2021.8.12  変革リーダーシップ

前々回から、経営計画・方針の浸透を図るポイントについて述べてきました。

 

そして前回は、具体的な浸透手法として「インテグレーション・ワーク」という手法をご紹介しました。

今回は後半の内容を述べて参ります。連動していますので、まずは前回のコラムを確認ください。

 

~変革リーダーシップの発揮~ 【第6回】経営陣と現場の融合|人材・組織開発サービス【株式会社新経営サービス】 (skg-od.jp)

 

では続きを述べていきます。

 

ここからが、「インテグレーション・ワーク」のメインである、

 

6.経営陣より回答~全メンバーによる対話(ダイアログ)実施

 

となります。

 

管理者が、経営陣から経営方針を聞いてグループ討議にてアウトプットした、

 ①経営計画・方針について「経営陣に聞きたいこと」

 ②「方針・想い実現にあたって提案したいこと」

 ③「方針・想い実現にあたって、我々ができること・すべきこと」

 

計36枚(1グループ①②③を各3つアウトプット×4グループの場合)の紙が貼られた壁を前にして、半円形に椅子を配置して管理者が座る状態をつくります。

 

着席後、経営陣が前に出て、まずグループ討議Ⅰ「経営陣に聞きたいこと」の質問についての対話から始めます。

 

経営陣が、一つの質問について「この質問の○○という言葉は、どういうイメージを言っているの?」というような形で逆質問を行います。

そのグループの代表がその質問に回答します。「○○という言葉は、グループで話し合った際、たとえばA・Bであるという話をしていました」その後、経営陣が納得すれば質問の回答を行います。

 

「この質問の回答は、まず、なぜこのようなことを挙げているのかというと、……という目的があるからなんだよ。方法としては、まず、できることとしてYを想定しています。それから、これはそれこそ管理者の皆さんに確認しないといけないことですが、Xということもしてみたいと思っています」

 

ファシリテーターが促し、管理者層に、今の経営陣の発言に対して質問・意見を求めます。

 

そして、ある管理者が手を挙げて質問します。「Xは、具体的に何をテーマに、どれくらいの時間をかけてやるイメージをお持ちですか?」

 

経営陣が回答します。「△△のテーマになるかな? 時間は現実的に考えて1回2時間程度かな」

 

それを聞いた、別の管理者が意見を言います。「今言われた△△もテーマとしてはよいと思いますが、戦略転換が図られるこの機会においては、□□をテーマにしたほうがいいと思います」

 

ここまで、経営陣-管理者の双方向の対話でしたが、このインテグレーション・ワークでは、経営陣が中心とはなりますが全員で対話を行います。

管理者の意見に対して、別の管理者が質問・意見を行うことも促します。

たとえば、また違う管理者の方が、「□□は、私も賛成だが、そこに懸案となっている××も併せて考える機会としてはどうだろうか?」という形で対話していただきます。

 

こうしたやりとりをファシリテーターが差配しながら、グループ別に選抜された、壁に貼り付けられている質問を変えて行います。

 

 

時間がくれば、グループ討議Ⅱ「方針・想い実現にあたって提案したいこと」、グループ討議Ⅲ「方針・想い実現にあたって、我々ができること・すべきこと」について、それぞれ壁に貼られた内容について全員で掘り下げて対話をします。

 

このインテグレーション・ワークの狙いは大きく三つあります。

 

一つが、「なぜ、この方針を行うのか?」。対話を通じて、意味合いを全員が理解・腹落ちすることにあります。

 

二つ目が「参画感」です。経営陣は、インテグレーション・ワークにおいての提案事項を中心に、この時間での気づきや内容を他の経営陣と共有します。

すべてではありませんが、その内容を踏まえて会社方針の推進、場合によっては方針修正・追加がなされていくことになります。

 

参加者から見れば、自分たちの意見も反映されて、方針が実行されていくという想いになります。

方針が下りてきたこと、客観的に見ていたことから“自分事”になります。

 

そして、もう一つが「教育」です。この対話を通じて、方針決定のもととなる情報や意思決定プロセス・判断軸が見えてきます。

管理者に、

「A分野のテーマは、○○と××の情報をもとに判断しなければならないんだ」

「Bについて決定するには、経営陣が話されていたプロセスで考えないといけないんだ」

などの気づきが生じます。

 

先に少し触れましたが、このインテグレーション・ワークは、経営陣-部長層、部長層-課長層、課長層-課員といったかたちで、カスケード(滝)方式で順次行うこともあります。少し補足すると、経営陣-部長層で実施したあと、今度は部長が方針を伝えて部下である課長層との対話に臨みます。そして立場を変えて、課長が課員に対して方針を伝え対話を図る側にまわる、こうした方式をいいます。

 

「教えることは学ぶこと」と言いますが、方針について対話することによって、これまで以上に部長層や課長層が会社の方針をじっくりと考えるようになります。

自部門や自部署の方針をブレイクダウンして検討することになります。結果、方針に“魂”が宿されていきます。

 

経営計画・方針の社員への浸透に課題を感じている、もしくは大きな方針転換を図られる際には、一つの浸透方法としてご一考ください。

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Author 執筆者

志水浩

志水浩

株式会社新経営サービス 専務執行役員 統括マネージャー

組織開発・教育研修コンサルタントして30年以上のキャリアを有し、上場企業から中小企業まで幅広い企業の支援を実施中。また、研修・コンサルティングのリピート率は85%以上を誇り、顧客企業・受講生からの信頼は厚い。 弊社、人材・組織開発部門、総責任者。