これまで6回に亘り「1on1ミーティング」について記してきました。今回が最終回です。
「1on1」では部下にフィードバックやアドバイスを与え、気づきを促進させることがねらいにあるとお伝えしました。この点について、切り口を変えて確認したいと思います。
「マインドセット」という言葉があります。人は、様々な経験から自分の価値観や信念、また思考習慣や思い込みなどが固定化される、という意味合いです。
これらを基に、人は自分なりの基準で物事を考える傾向が強化されます。これがプラスに作用する場合は良いのですが、マイナスに働いてしまう場合があり、それが人の成長を阻害させてしまうケースがあります。
このマイナスを回避するためには、現状のマインドセットに新たな視点を加え、マイナスの思考やそれに伴う行動をプラスに好転させる必要があります。
ただ、人は自力で思考習慣を変えたり、思い込みや固定観念を排除することは非常に難しいと言われます。
そのため、多くの場合は他者からのフィードバックやアドバイスなど、客観的な立場からのサポートを必要とします。
言い換えれば、これが「1on1」における気づきの促進であり、上司が部下に行うことのねらいと言えます。
「1on1」に関しては、時に部下の方々から
・単にコーチングスキルで詰め寄られるだけで、憂鬱になる…
・雑談だけで意味がない、時間の無駄でしかない…
・部下のための時間と言いつつ、上司の話をひたすら聞く時間にすぎない…
といった不満の声を耳にします。
しかし、これらは当然ながら「1on1」のねらいではありません。部下を理解し、日々の言動の中から課題をつかみ、より良い方向へと導く考え方や行動を伝える取り組みです。
人と人は信頼関係の上に成り立っていると思います。これを外してしまうと、あらゆることが成立しないのではないでしょうか。
「1on1」を通じてマインドセットに好影響を与えることで、部下は上司に信頼を寄せるようになってきます。
その結果、上司と部下がより良い関係を築き、部下は成長を図りつつ、成果創出につなげられるようになるのだと思います。
「1on1」のねらいを正しくおさえ、部下と一緒により良い方向へ進んでいただきたいと思います。