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連載コラム~マインドセットの進化を果たすために~【第6回】「もしも○○になれば・・・」

2020.8.15  マインドセット

幕末、西郷隆盛や大久保利通を輩出し、明治維新をリードした薩摩藩。

日本の西南端にある辺境の藩であるにも関わらず、なぜリーダーシップを発揮して維新を為し得たのでしょうか?

 

琉球王国(沖縄県)を窓口とした中国との貿易。そして、奄美大島で栽培された砂糖の専売などによる財力。

西郷隆盛の師であり、主君であった島津斉彬による科学技術振興、洋式軍備整備。

そして、薩摩隼人と称される、勇猛果敢な藩士たちの存在。

こうした力が薩摩を幕末の主役に押し立てたと一般的に語られます。

 

これらのことに加え、さまざまなテレビ番組によく出演されるようになった歴史学者の礒田道史さんは、

反実仮想

の習慣・力を挙げられています。

 

反実仮想とはシンプルにいえば、「現実には起きてはいないが、将来もしも起きればどう対処するのか?」を考えることを指します。

 

薩摩藩では、「郷中」という自治教育組織が地域ごとにありました。そこでは、大人になる前の若者が師として、目下の子供たちを教育することが行われていました。

その教育のなかで、この反実仮想が日々、問答されていたそうです。

 

「お殿様に命じられたことが早馬を使ってでも為し得ないとき、どうするか?」

といった設問を師である先輩が出します。

そして、目下の子供たちが考え、答えるという思考訓練をひたすら続けたようです。

 

礒田道史さん曰く、薩摩の武士たちは幼少期から何千回とこうした問答を繰り返した結果、未来に起こり得るさまざまな想定を行い、対応シナリオを考える習慣が培われた。

そして幕末の変動に対して、他者に先んじて手立てを講じることができた。

この習慣が明治維新をリードすることができた本質的な要因であると述べられています。

 

 

陸上競技の分野で、無名の学校・選手を独自の育成手法で日本一にまで導く、「カリスマ体育教師」と称される原田隆史さん。

以前に学生達の練習を見学させていただいた折、このような話をうかがいました。

 

一言でいえば、

 

「日本一になる子は、試合に赴くときのカバンがでかい」

 

ということでした。

 

どういうことか?というと、強い子・強くなる子は、

 

・試合会場は、山の麓である。急に冷え込むことも考えられる。夏ではあるが念の為に

 上着を持っていこう。

・また、昼から雨が急に降りだすことも考えられる。カッパも持っていくことにしよう。

・雨が降り、グラウンド・コンディションが悪い場合は、試合前に靴が濡れて重くなる。

 靴をもう一足持参して、試合直前に乾いた靴に替えて試合に臨もう。

 

といったような想定を行い、対応法を考えるので荷物が多くなるとのことでした。

 

こうした思考を行うことにより、他の子たちからみれば想定外のことが起きても、想定していた出来事であることが多く、慌てずシナリオどおりの対応を行い、平常心をもって試合に臨んでいくことができます。

結果、高いパフォーマンスを発揮することとなるのです。

 

おわかりのとおり、薩摩武士と同じく反実仮想をしている子が秀でた結果を出すことを述べられています。

 

コロナ禍で政府の対応が後手にまわり、遅きに失することが多いとの批判がよく出ます。

一つは、この反実仮想が十分になされていないゆえのことかと推察します。

 

ただ、これは当然、他人事ではありません。環境変化が激しくなる時代です。われわれ企業組織においても、社員一人ひとりが反実仮想を行い、一言でいえば、

想定力

を磨き、組織全体の未来に備えるマインドセットを進化させていくことが求められます。

 

Author 執筆者

志水浩

志水浩

株式会社新経営サービス 執行役員統括マネージャー

組織開発・教育研修コンサルタントして27年以上のキャリアを有し、上場企業から中小企業まで幅広い企業の支援を実施中。また、研修・コンサルティングのリピート率は85%以上を誇り、顧客企業・受講生からの信頼は厚い。 弊社、人材・組織開発部門、総責任者。