企業組織においては、課せられているミッションを社員一人ひとりが誠実に追求することで、ときに仲間の業務に障害をきたすことが起きます。
わかりやすい例でいえば、製造業では、営業と製造でそれぞれ担当者が職務・目標を追求すればするほど、対立が起きやすくなります。
具体的にいえば、営業は受注・売上拡大がミッションです。
多くの受注を得るには、お客様に寄り添って、その要望に応じたQCDレベルの製品を提供することが必要です。
しかし、往々にして、お客様の求めに応じることは生産側に無理をさせることになります。
複雑な仕様のために生産性の低いものづくりを強いる、短納期のために残業が増加し原価が上がることなどが生じます。
一方で、製造は生産性の向上がミッションとなります。
生産性の高いものづくり、原価低減が求められます。
営業に複雑な仕事や短納期の仕事を受注されると困ります。
そして、これが部門・個人の人事評価項目になっているケースが多くあります。
営業パーソンは受注。
製造担当者は生産性。
それぞれの立場・部署に求められる受注・生産性の指標をブレイクダウンして人事評価シートに落とし込まれています。
一生懸命、仕事に取り組んでいる社員たちほど、対立・軋轢を生じさせることになります。
同じ部署の同僚でも利害対立はあります。
席を隣に並べていても、一緒にランチをとり、飲みに行く仲でも、昇進は競争です。
給与・人事評価においても、同部門・部署内でS・A・B・C・Dと相対評価を行い、決定する会社も多くあります。
こうした利害対立が生じる者同士に、口だけで連携・協働を求めてもなかなか進みません。
地獄と天国の食事についてのこんな話があります。
地獄の世界では、食べ物を取る箸が1メートルの長さのものしかありません。
地獄の住人は、その長い箸を使って食べようとしますが、長すぎてなかなか口に運べません。
ですから地獄の住人は皆やせ細っています。
ただ、天国の世界に行っても、やはり同じでした。
1メートルの長い箸しかありません。
しかし、なぜか皆さん恰幅がよく、飢えているようには見えません。
何が違ったのか?
そうです。
天国では箸の使い方が違ったのです。
長い箸で食べ物を取って、互いに与え合っていたのです。
組織で働くにあたっては、協働をしなければ行き着くところ、互いにマイナスのLose-Loseの状況を生むことになります。
互いの状況・立場を理解し、妥協するところは妥協し、譲れないところは譲ってもらうことが、Win-Winの状況を生みます。
上位者は、このことを理解できる働きかけを行い、社員を教育することが大切です。
部門同士の場合であれば、部門長・部署長が率先してWin-Winにつながる働きかけを他部門・他部署に対して行い、部下に示して教育を図ります。
そして、やはり評価です。
自部門内、個人だけでなく、会社や組織全体の業績、そして部門・部署連携、他者支援など協働に関する評価項目を、全体評価のなかでの位置付けを大きくしていくことが求められます。
緊急事態宣言が発令されるなど、コロナ禍の終息はまだしばらくは難しい状況です。
これまでも7割経済といわれ、多くの企業が業績面で苦戦を強いられていましたが、倒産件数にも現れているとおり、昨年の春先までの受注残、政府の資金繰り支援などで何とか耐えきれていました。
ただ、本当に厳しい局面はこれからでしょう。
今こそ社員が一致団結して困難に取り組むときです。
協働がなされていくために障害となっているものはないか?
確認をして、変えるべきものは変えて、この局面に臨むことが求められます。