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連載コラム~目標達成し続けるチームづくり~【第33回】本気のクレーム対応と報連相が組織を変える

2021.10.8  チームビルディング

~目標達成し続けるチームづくり~
【第33回】本気のクレーム対応と報連相が組織を変える

■笑顔と挨拶が一番の商品

 

高知県に四国管財株式会社というビルメンテナンス・清掃などの請負を行っている企業があります。従業員数はパートタイマーを含めて約600名。

 

 全国ビルメンテナンス協会主催 事例発表優秀賞受賞

 日経ビジネス誌において、「奇跡を起こす凄い組織100」に選出

 日本でいちばん大切にしたい会社大賞 審査員特別賞を受賞

 

等の受賞歴があり、今は多くの経営者が視察に訪れるモデル企業となっています。

 

ところが、3代目である中澤会長がアルバイトとして入社をした1980年当時は、従業員が恥ずかしくて社名を言うのが憚られるほどの酷い会社でした。

一部の社員はモラルが非常に低く、挨拶はしない、無精ひげを生やし、身なりはだらしない。さらに、くわえ煙草で仕事をする人すらいました。

パート社員として主婦の方を採用しても、後日「家族から辞めてくれと言われたので辞退させてください」という連絡が何度もありました。

 

そのような会社の状態ではありましたが、亡くなった父のために「絶対にいい会社にしてみせる!」と誓い、「いい会社」を追求し続けた結果、直近20年間一度も新規の営業活動をしていないにも関わらず、お客様からの紹介やリピートによって事業を拡大し、上記のような賞を受賞する企業に成長しました。

 

中澤会長や本社のスタッフが仕事において最も大切にしているのは、「現場のスタッフが笑顔で働ける」ようにすることです。

 

なぜなら、アンケートを実施したところ、お客様は清掃やビルメンテナンスの技術よりも、「挨拶と笑顔」を最も求めていることが分かったからです。

言い換えると、現場のスタッフの「挨拶と笑顔」が一番の商品であり、他社との差別化のポイントになっているということです。

 

■情報収集と対策の徹底

 

四国管財にはユニークな取り組みが多々ありますが、その一つが「お客様係」です。

 

お客様係は、営業部・事務部・業務部等、全ての部門のメンバーが含まれる横断型の組織で、社長もその一員です。

お客様係は36524時間全てのクレームを一元的に受け、それを関係各所にホウレンソウ(報告・連絡・相談)することで、情報の共有と対策の実行を円滑に行っています。

 

また、お客様係はクレーム対応を行うだけでなく、現場スタッフからの報告や相談についても受け付け、即座に対応するようにしています。

 

なお、四国管財社ではお客様係に来る全ての連絡を「ラッキーコール」と呼んで、迅速かつ丁寧な対応を行っています。

 

例えば、朝早くに現場のスタッフから「子供が急に熱を出してしまったので、現場に行けなくなった、どうしよう・・・」というラッキーコールがあったとします。

 

その際、お客様係の社員は「お子さんの様子はどうですか?大丈夫ですか?」と心配をしたうえで、「現場には誰かに代わりに行ってもらうので、安心して下さい」と伝え、すぐに対応を行います。

 

もしもこの時、「そんなことを急に言われても困るので、子供は一旦旦那さんやご両親等に預けて、清掃現場に行ってください」等と伝えようものなら、現場のスタッフが会社に対して不信感を抱くだけでなく、「挨拶と笑顔」が実践できずに顧客満足度も下がってしまうことになります。

 

大切なのは、現場のスタッフが「一人で我慢しないこと」です。

 

不満があっても、それを言う機会がなければ多くの人はそれを我慢してしまいます。そして、我慢の限度を超えると、周囲に言いふらしたり、ネットで書き込んだりします。すると悪い口コミがどんどん拡がることになってしまいます。

 

逆に、現場のスタッフの困りごとを会社が親身になって対応すると、それがちょっとした感動を生み、良い口コミになります。

 

つまり、四国管財においてラッキーコールは、口コミを生むための宝の山なのです。

 

 

翻って、貴社ではメンバーが上司に対して、我慢せずに何でも言える状態になっているでしょうか。悪い情報であっても隠さずに、すぐに共有されるようになっているでしょうか。

 

社員が突然「辞めます」と言ってくる、理由も分からず顧客が他社に乗り換える等が起きているとしたら要注意です。

上記の事例も参考にしつつ、組織運営に取り組んでみてください。

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Author 執筆者

山下大輔

山下大輔

株式会社新経営サービス コンサルタント

大手教育会社にて数多くの講師登壇並びに人材育成に従事。 その後、事業会社の経営幹部として組織体制の構築や全国エリア統括として部署横断型のプロジェクトチーム立ち上げ等を経験。 「活気ある組織作りを基軸に中小企業を支援したい」との想いから新経営サービスへ入社。 単なる研修実施ではなく、経営課題の解決につながる人材開発・組織開発コンサルティングを心掛けている。