会社は通常、中期経営計画などさまざまな目標・計画を立案し、その実現のための課題・施策を社員で分担して、いわゆるPDCAサイクルをまわしていきます。
時間が経過すれば、経営計画を立案した際には起きていなかった環境変化が生じたり、天災・コロナ禍のような想定外のことも発生します。
こうした事態に対応するために新しい施策を追加しながら動いていきます。
そして、半期、一年で立案した経営計画をブラッシュアップする。
場合によっては抜本的な見直しを図り、新たな目標・計画に沿って動いていく。
このような運営がなされていきます。
ただ、この経営計画を基軸としたPDCAサイクルを継続的に回していく中で、時を追うごとに組織の動きが鈍くなっていき、計画推進力が落ちていくことがあります。
もちろん、この現象の原因はさまざまです。
・社員の多くにおいて、経営計画を推進する意義が“腹落ち”できていないため、推進するモチベーションが上がっていかない
他には、
・人手不足が生じて、現業を回すことに精一杯で手がまわらない
・DXを始めとした未知の分野へのチャレンジが多く、試行錯誤で前に進まない
こともあるでしょう。
そして、経営計画をしっかり時間をかけて綿密につくり、見直す会社ほど陥りがちなのですが、“やるべきことが多過ぎる” “やるべきことの優先順位が付いていない”ことが推進力を鈍らせています。
目標数と業績成果の関係性を調査したある分析結果があります。
調査結果は、目標数が少なければ少ないほど、目標達成レベルが高く、業績成果が向上している。逆に目標数が多ければ多いほど、目標未達が増えて業績が低迷しているというものでした。
“やるべきこと”が多ければリソース(時間・予算・適正人材など)が分散され、全てが中途半端になることを物語っています。
また、“やるべきこと”の増加に伴い、プロジェクト・会議・報告書などの管理ツールも比例して増えていきます。
結果、社員は皆忙しく働いているのに、業績はどんどん下がっていくというような、笑えない状態に陥る会社もあります。
建設土木工事などの職人向けの作業服販売から始まり、今では女性向けのカジュアル・ウェアまで手掛け急成長を果たしているワークマン。
その立役者である土屋哲雄さんも雑誌インタビューで、このように語っています。
〈目標はできるだけ少なく、せめて絶対にやり遂げてほしいもの、半分くらいに絞るといいと思います。ちなみにワークマンの目標は「客層拡大」、これだけです。〉
『日経トップリーダー2021年3月号』
目標・計画の推進力に問題意識をお持ちであれば、こうした切り口で見直しをお考えになるのも選択肢の一つかと考えます。