■融通が利かない部下
以下は、先日ある企業の社長とお会いした際のやり取りです。
社長「うちのA部長は、本当に融通が利かないんですよ。もっと臨機応変に対応してくれたらいいのに、『ルールですから』の一点張りで。もうちょっとこっちの事情も想像してくれたらいいのに。もっと私みたいに色々なアイデアを出して、新しいことに取り組んでくれたらいいんだけどなぁ。」
私「A部長はそのような方なんですね。ちなみに、細かい仕事が得意で、きちんと調べたうえで順序だてて取り組むのが得意ではないですか?また、あまり感情の波がなく、いつもパフォーマンスが安定している方だったりしますか?」
社長「そのとおりです。たしかに、言われてみれば悪い面ばかりではなく、良い面もありますね。しかし、A部長に会ったことがないのに、なんでそこまで分かるんですか?」
私「実はですね・・・」
もちろん私はA部長にお会いしたことはないですし、事前にA部長の特徴を誰かから聞いていたわけでもありません。
ではなぜA部長の特徴を言い当てることができたのか、それは“ハーマンモデル”というタイプ分類を知っていたからです。
■ハーマンモデルとは
ハーマンモデルとは、人間の「脳」の個性を明らかにし、各人が脳のどの領域を最も頻繁に使用するかを、以下のように4類型に分類して判定するモデルのことです。
アメリカGE社のマネジメント教育の責任者であったネッド・ハーマンが、1977年に基本モデルを開発し、その後改良を重ねて90年代から現在までにインテル、IBM、P&G、コカコーラ、マイクロソフト、資生堂、キャノンなど、様々な企業がハーマンモデルを利用しています。
個人の思考の得意・不得意を見える化することで、能力開発や適材適所の配置等に活用することが可能です。
私は、社長がA部長に対して使った表現から、しっかり者で前例が大事、計画的、詳細的・順序的なものが得意な、タイプB(図の左下)が優勢な方だろうと推測し、社長にお伝えしたというわけです。
なお、各タイプの詳細については、「ハーマンモデル」で検索していただくとすぐに見ることが可能です。
■利き脳をチームビルディングに活かす
我々はつい、「あの人はコミュニケーションが下手だ」、「私だったらすぐに人と仲良くすることが出来るのに」等と他者のマイナス面を見てしまいます。
しかし、自身を冷静に振り返ってみると、対人コミュニケーションが得意な代わりに、事実に基づいて分析し、論理的に解決策を導き出すことが苦手だったりします。つまり、人それぞれ強みがある反面、弱みもあるということです。
ハーマンモデルでは、チームがうまく機能し成果を出すようになるには、A・B・C・Dすべてのタイプのメンバーが集まり、協力することだと言われています。
是非、それぞれにメンバーの特徴を理解したうえで、それぞれの強みを発揮し、弱みをカバーし合えるようなチームづくりに挑戦してみてください。