2021年4月25日より、新型コロナウイルスの感染拡大によって東京都及び関西の2府1県はまたしても緊急事態宣言の対象となってしまいました。
社員の健康を守るために、リモートワークを実施している企業も多いと思いますが、職場に集まっている時と比較して、社員のパフォーマンスはどのように変化しているでしょうか。
職場に集まっている時と違い、リモートワークにおいては管理職がメンバーの状況を把握することが難しくなります。また、上司と部下だけでなく、部下同士でも気軽にコミュニケーションを取り、お互いの状況を把握したり、情報交換をしたりすることが難しくなります。
今回は、株式会社Consulente HYAKUNEN 及び、株式会社 Maxwell’s HOIKOROの2社が数万人のビジネスパーソンを対象とした大規模調査を行い、その結果をデータ解析して作成した「戦略的リモートワーク・惰性的リモートワーク ~大規模データから導くリモートワーク選択決定の条件~」という資料を基に、チームの役割別にパフォーマンスを左右する要素を見ていきます。
■チーム役割行動の場合
チーム役割行動とは、複数のメンバーで決められた仕事をすることです。
例えば営業事務職が分担してデータ入力を行ったり、採用担当者が就職サイトの操作やエージェントとの連絡、面接のセッティングを行ったりするケースなどが該当します。
上記のグラフは以下の4パターンにおいて、上司がマイクロマネジメント(※1)をしない時(左側)と、マイクロマネジメントをした時(右側)のパフォーマンスの変化を表しています。
青:エンゲージメント(※2)が低いメンバーが、職場で仕事をする場合
赤:エンゲージメントが高いメンバーが、職場で仕事をする場合
黄緑:エンゲージメントが低いメンバーが、RW(リモートワーク)で仕事をする場合
紫:エンゲージメントが高いメンバーが、RW(リモートワーク)で仕事をする場合
まず全体的に見て、紫と赤のグラフが青と黄緑よりも上に位置していることから、エンゲージメントが高い方が、チームのパフォーマンスは高くなることが読み取れます。
さらに、4本のグラフ全てにおいて右側の方が下がっているため、チームで決められた仕事をする際には、上司が事細かに指示を出すとパフォーマンスが下がることが分かります。
また、エンゲージメントが高い赤と紫を比較すると、左側では紫のパフォーマンスが高いにも関わらず、右側では赤の方が高くなっていることから、リモートワークにおいては特にマイクロマネジメントをしてはいけないということが分かります。
リモートワークになると上司は部下が見えなくなり、情報を欲しがることでついつい部下との接触を増やしたくなりますが、エンゲージメントが高い部下は信じて任せておいた方が、良い仕事をしてくれます。構い過ぎには注意しましょう。
ただし、グラフからは読み取れませんが、一般論としてエンゲージメントが高いだけでは仕事を任せるには十分ではなく、事前にきちんと上司-部下の間で目標・GOALをすり合わせしていることや、その業務を進めるためのスキルを保有していることが、前提となります。
なお、リモートワークにおけるマネジメントの強化方法については、5/27(木)開催のオンラインセミナーで詳しく説明致しますので、是非ご参加下さい。
https://skg-od.jp/seminar/2837/
※1 マイクロマネジメントとは、上司やリーダーが部下・メンバーの行動を細かく管理・チェックし、過干渉してしまうマネジメントのことです。例えば、状況確認をしつこく頻繁に行う、メールのCCに常に自分を追加するようにさせる、等が挙げられます。
※2 組織におけるエンゲージメントとは、従業員の会社に対する「愛着」「思い入れ」など従業員と会社の絆の強さを表します。