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連載コラム~目標達成し続けるチームづくり~【第19回】空に雲が多いと、必ず雨が降るか?

2020.6.1  チームビルディング

「空・雨・傘」という問題解決のフレームワークがあります。

 ※フレームワークとは「思考の枠組み」のことで、物事を整理して考えるのに有効です。

 

「空を見上げると黒い雲がかかっている。雨が降りそうだから、傘を持っていこう」という、日常のよくある考え・行動から名付けられたフレームワークで、物事を「空」「雨」「傘」の3つに分けて整理することによって状況を俯瞰し、課題解決へのきっかけを見つけるために使われます。

 

具体的には以下のとおりです。

 

1.空=事実

「空」というのは実際に起こっている事実です。

空を見上げると、「黒い雲がかかっている」、あるいは「西の空が暗くなっている」というのは誰が見ても同じ、客観的事実です。

 

2.雨=解釈

「雨」というのは解釈です。「空に黒い雲がかかっている」という事実を見て、「雨が降りそうだ」と、過去の経験や知識等を通じて解釈しています。
この解釈の部分は、人によって異なります。

 

3.傘=解決策

「傘」は解決策を表します。空を見たら雲がかかっている。これは雨が降りそうだ。

だから「傘を持っていこう」という解決策を実行します。

解決策なので1つとは限らず、傘以外にも「自転車ではなくタクシーで行こう」、「長靴を履いていこう」等も考えられます。

 

一見すると単純な話のようですが、組織においてこの「空・雨・傘」を上手く整理できていないために、問題が起こることがよくあります。

 

実際に、ある企業でこのようなことがありました。

 

空=最近A君がよく遅刻をしてくる。業務においてケアレスミスが多い。

 

雨=A君のやる気が低下している。
以前からよく飲みに行っているらしいし、二日酔いで仕事をしているのだろう。

 

傘=真剣に仕事をするように、厳しく注意しよう。

 

残念ながらその後A君は鬱になり、長期間の休職を余儀なくされました。

 

このケースでは、上司の雨=解釈が大きくズレていました。

実際にはA君はやる気があり、多くの業務を自ら引き受けてこなそうとしていました。

しかし本人の処理能力が追い付かず、持ち帰って夜中まで仕事をしていたために、寝不足が原因でケアレスミスをしてしまっていました。

また、「よく飲みに行っているらしい」というのも過去の噂話からの思い込みで、最近は全く飲みに行っていなかったとのことです。

 

 このように、雨=解釈が間違ってしまうと、それに基づく傘=解決策も間違ってしまうことになります。

 

上記のケースでは、「最近、遅刻やミスが多いようだけど、どうしたの?」と声をかけ、仕事の状況をきちんと把握しておけば、
 
 「業務を他の社員にも割り振ることで、A君の負担を減らす」、「A君の業務が円滑に進むように、効率的なやり方を一緒に考える」等で解決することが出来たかもしれません。

 

 コロナ禍の影響により、テレワークを導入する企業が増えてきました。

社員の仕事ぶりが見られなかったり、コミュニケーション量が減ったりすることで、管理職が部下に対して間違った「解釈」をしてしまうことが起こり得ます。

 例えばある企業では、上司が部下のメール返信が遅いことに対して、「サボっているのでは?」と解釈してしまい、LINE宛に「今、何をしていますか?」、「仕事をサボっていませんか?」と毎日何度もメッセージを送ったことで、トラブルが発生しました。

 しかし、実際には部下はきちんと仕事をしており、集中して仕事をしていたために、メールに気づかず返信できていないだけでした。

 

このような間違いを犯さないためにも、上司は部下の自宅での状況を可能な範囲でヒアリングしたり、短時間でも良いのでオンライン会議・面談等を用いて、コミュニケーションを図り、テレワークで困っている事や、その解決策を話し合ったりするのが良いでしょう。

このような状況だからこそ、「空・雨・傘」を意識したマネジメントを行ってみてください。

 

Author 執筆者

南野真彦

南野真彦

株式会社新経営サービス 人材開発部シニアコンサルタント

大学卒業後、リクルートグループ企業においてクライアントの採用支援に従事。その後人事コンサルティング会社にて、中小・ベンチャー企業に対し、人材採用や若手の育成、人事制度の構築・運用に尽力。 株式会社新経営サービス入社後は上記に加え、理念経営の実践やチームワークの向上等、組織・人事面における幅広い手法を用いた組織開発コンサルティングを行っている。