■テニスが強いペアと弱いペアの違い
先日初めて会った人とダブルスのペアを組んで、テニスの練習試合を行った際に、以下のようなことがありました。
私のボールが相手前衛の頭上を越えたので「チャンス!」と思い、私はコートの前方に詰めたのですが、パートナーは守るポジションに居たため、せっかくのチャンスボールを決められず、逆に失点してしまいました。
後でパートナーとその失点シーンについて話をしたところ、「普段からあまりセオリー(定石)は気にせずにプレーをしているので、特に前に詰めようとは考えていなかった」ということでした。
これは非常にもったいないことです。
テニスには上記の他にも様々なセオリーがあり、強いダブルスのペアほど、セオリーに忠実で、「Aという状況になったらBという行動をする」というペアでの決め事を守ってプレーしています。また、1ポイント毎に話し合いながら二人の認識のズレを修正しています。
その結果、対戦相手はなかなか相手を崩す隙が見つけられず、無理をして自滅し、負けてしまうのです。
■判断基準を伝えているか
話は変わりますが、企業においては上司が部下に仕事を任せられず、ついつい細かいところまで口を出してしまったり、「自分でやった方が正確で早い」と、部下の仕事を取り上げてしまったりすることが多く見られます。
そして多くの上司は、その原因を「部下のレベルが低いから」と考えています。
しかし本来の原因は、上司の頭の中にある“判断基準”や、そう考えるに至った”思考プロセス”を部下に伝えられていないことです。
上司は業務において、何がしかの判断基準を持っています。
例えば、「この場合は、目先のお金よりも顧客との関係を優先する」、「この場合は質よりもスピードを優先する」等々です。
しかし、その判断基準を部下にしっかりと説明していないために、「なぜ先日は、『もっと正確に仕事をしろ』と言っていたのに、今回はスピード優先なのか?」等と、部下を混乱させてしまいます。
そして、いつまで経っても部下は上司の判断基準を理解できないために、事あるごとに上司が指示を出したり、修正したりしなければならなくなるのです。
この問題を解決する方法は、上司の頭の中にある判断基準を明文化したうえで、その背景や意図を部下に説明する時間を取ることです。
そうすると、上司がいちいち指示をしなくても、部下は共有された判断基準に則って考え、行動するようになります。
もちろん、1度伝えただけで判断ミスが無くなることはありません。しかし、その時こそ判断基準をすり合わせるチャンスです。そのミスを他のメンバーとも共有することで、同じようなミスが起きないようにすることが出来ます。
このようなプロセスを繰り返すことで、メンバー皆が同じ判断基準を持って業務を行うようになり、結果的にチームの生産性を高めることができます。
特に、テレワークリモートワークで部下が上司に気軽に相談しづらい、あるいは上司が部下の仕事を
見づらい今こそ、判断基準のすり合わせを行ってみて下さい。
なお、組織において最も共有すべき判断基準は、経営理念です。
理念を実現するために守るべき行動(行動指針・行動規範・バリュー・ウェイ・ポリシー等)
を明文化し、毎日社員と確認することで、同じ判断基準を持てるように浸透させてください。
理念の構築・浸透方法は以下よりご覧いただけます。
https://jinji.jp/hrconsulting/idea/