■生産性が低い会議
先日、ある会社(以下A社と記載)で、社長や役員等と打ち合わせをしていた時の話です。
A社では近年残業時間の削減に取り組んでおり、月間の平均残業時間が20時間以下になってきた一方で、会議の時間が長く且つ参加者も多いので、それがさらなる残業時間削減の妨げになっているとのことでした。
さらに詳しく聞いてみると、課長級の会議であるにも関わらず、ある部署のB課長は毎回、部下を3人も連れて会議に参加しており、その理由を訊ねると、「今後のために勉強させたいから」と答えたそうです。
また、その課長級の会議では毎回、声が大きい一部の課長が長々と自部署の主張を話し続けるだけで、「課長同士が協力して課題解決に取り組もう」というような、具体的な結論は出ずに終わるそうです。
もちろん、B課長の部下は会議を見ているだけで、何の発言もしません。
このような会議は、誰が見ても時間の無駄であり、生産性の向上を妨げています。
このケースで改善すべきは、以下の2点です。
①当事者ではなく、発言もしないメンバーが参加していること
②一部の社員がずっと話すだけになっている
上記の①については、不要なメンバーを参加させないようにすれば済みますが、②についてはなかなか解決が難しいようで、多くの企業で同じような光景をよく目にします。
■全員が意見を言えるようになるために
ここでも役に立つのがチームの成長プロセスについて提唱されているタックマンモデルです。
(“タックマンモデル”については、第3回「チームの成長を促す」をご覧ください。)
上記②のように一部の社員だけが発言している状態は、タックマンモデルでは第一段階の形成期に該当します。
発言をしないメンバーは当事者意識がなく、様子見状態であり、何か発言することで自分が矢面に立ったり、責任を負わされたりすることを回避しようとしています。そしてただ、リーダーや声の大きい人がやり合うのを傍観するのみです。
このような形成期のチームは、まだまともな会議が出来る状態ではありません。しかし、多くの企業では形成期のまま生産性の低いムダな会議を繰り返してしまっています。
皆が意見を出し合い、今までになかったアイデアが生まれ、各自が責任を持って決まったことを実行するような会議を行いたいのであれば、まずは、お互いの考えや価値観を知り合うこと、チームの目標やルールを決めて実行すること、安心・安全な場をつくること等を通じて、各自が意見を出し合える状態を作り出すことに注力してください。