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連載コラム~目標達成し続けるチームづくり~【第22回】リモートワークだからこそ、メンバーのことをよく知る

2020.9.30  チームビルディング

~目標達成し続けるチームづくり~
【第22回】リモートワークだからこそ、メンバーのことをよく知る

■電車内で起こったこと

 

1人の男性が子供達を連れて、電車に乗り込んできました。

そして、しばらくするとその子供たちは、電車の中で「ワァー、ワァー」と騒ぎ出しました。大声を出したり、走り回ったり、物を投げたり。しまいに、他の人が読んでいる新聞を、奪い取るようなことまでしていました。

 

その子供達の騒ぎぶりに、周りの人たちもイライラし、迷惑そうにしている様子だったのですが、子供達を連れてきた父親だと思われる男性は何もせず、ただ座っているだけでした。

 

もし、あなたがこの場に居合わせたとしたら、どう思うでしょうか。少し想像してみてください。

 

・・・

 

そして、ついに子供が騒いでいる状況に耐えられなくなった乗客の1人が、子供達の父親と思われる男性に、こう声をかけました。

 

「あなたのお子さんたちが、他の人の迷惑になっているようですよ。もう少し大人しくさせることは出来ないでしょうか?」

 

そう言われた父親は、そんな状況になっていることに、初めて気づいたかのような驚いた表情をしました。そして、静かな声でこう答えたのです。

 

「本当にそうですね。申し訳ないです。実は1時間ほど前にこの子供達の母親が亡くなったものですから、いったいどうすれば良いのか、混乱していまして・・・」

 

子供たちの母親が亡くなった、という父親の言葉を聞いた後、男性はそれ以上「子供達を静かにさせろ」と注意することはありませんでした。

 

■ザイアンスの法則とは

 

この話は、世界的なベストセラー著書「7つの習慣」に出てくる話の1つです。

 

アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスが1968年に論文にまとめた「ザイアンスの法則(単純接触効果)」という理論があります。

 

要約すると

——————————————————————————-

 ①人は知らない人には攻撃的、冷淡な対応をする

 ②人は会えば会うほど好意を持つようになる

 ③人は相手の人間的な側面を知った時、より強く相手に好意を持つようになる

——————————————————————————-

というものです。

 

職場にあてはめて考えると、同じ職場のメンバーであっても、あまり話をせず、よく知らない相手に対しては、攻撃的・冷淡な対応をしてしまうことがある。

だからこそ、社内で誰とも話さずパソコンとにらめっこをするのではなく、一見無駄に思えても雑談をしたり、一緒にランチに行ったりしながら、お互いの人となりを知ることが大事だと言えるでしょう。

 

■リモートワークにおけるマネジメント

 

新型コロナウィルスの影響で、テレワーク・リモートワークが普及し、職場のメンバーと顔を合わせて話す機会が減っています。

そのため、例えばメンバーからのメールの返信が遅いと、「あいつは家でサボっているのではないか?」等と考え、イライラしてしまいがちです。

しかし実際には、「子供の体温が少し高かったので保育園で預かってもらえず、家でずっと相手をしなければいけなかった」という事情があるかもしれません。

 

もしそのような事情を知っていれば、「だったら返信は子供が昼寝してからでいいよ」と、優しい気持ちで対応できるのではないでしょうか。

 

お互いの事をよく知るために、オンラインでの朝礼を行ったり、午後の1時間は自由に出入りし話が出来る雑談ルームを設定したり、わざわざメールやweb会議をしなくてもチャットですぐやり取りが出来るようにする等、様々な工夫を行っている企業もあります。

 

このような状況下だからこそ、お互いの状況をよく知る努力をすることが大切です。オンラインツール等を活用しながら、お互いの近況を話したり、悩み事を相談したりする時間を意図的に持つことを検討してみてください。

 

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Author 執筆者

山下大輔

山下大輔

株式会社新経営サービス コンサルタント

大手教育会社にて数多くの講師登壇並びに人材育成に従事。 その後、事業会社の経営幹部として組織体制の構築や全国エリア統括として部署横断型のプロジェクトチーム立ち上げ等を経験。 「活気ある組織作りを基軸に中小企業を支援したい」との想いから新経営サービスへ入社。 単なる研修実施ではなく、経営課題の解決につながる人材開発・組織開発コンサルティングを心掛けている。