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連載コラム~目標達成し続けるチームづくり~【第27回】三人寄れば文殊の知恵の罠

2021.2.26  チームビルディング

「三人寄れば文殊の知恵」ということわざがあります。
“一人で考えるよりも、複数人で話し合った方が良いアイデアや結論が出る”という意味であり、ビジネスの世界でもよく言われます。

しかし、複数人で考える方が良い結論が出る、というのは本当なのでしょうか?

太平洋戦争の初戦となった真珠湾攻撃において、アメリカ軍では次のようなことがありました。
真珠湾攻撃の直前、ハワイ駐留のアメリカ軍司令官は本国より、「日本軍がハワイ攻撃を行う可能性がある」という警告を受けていました。
ところが、司令官が幕僚たちと会議を進めた結果「まさかそんなことは無いだろう」という結論になってしまい、警戒を怠ってしまったのです。

集団的意思決定の研究で著名なアメリカの社会心理学者アーヴィング・ジャニスは、1972年に「集団浅慮(グループシンク)」という概念を提唱しています。

上記のアメリカ軍のように、組織・集団の意思決定において、参加者全員で合意形成を図ろうとするあまり、その結論が正しいかどうかを適切に判断・評価する能力が著しく欠如するといった現象が起こることがあるのです。

特に組織が以下のような状況にあると、グループシンクの罠に陥る可能性が高いとジャニスは指摘しています。

(1)過大評価
「自分達は決して負けることや失敗することがない」という過度な楽観主義や、「自分達の考えは絶対に正しい」という極端な思い込みから、自らの集団への過大評価が生まれ、不適切な意思決定をしてしまう。

(2)閉鎖性
外部集団とのかかわりがなく、常に同じチーム、同じ人間で組織されるような閉鎖的な環境に置かれると、「自分達は優れた集団である」や「敵は弱くて間抜けである」といった偏見が生まれ、不適切な意思決定をしてしまう。

(3)均一化への圧力
「集団の合意から外れてはいけない」という自分の意見の抑制や、「多くの人の意見が一緒であれば、全員同じ意見だろう」という満場一致の幻想、「反対意見は許さない」という反対者への圧力などが強い集団は、不適切な意思決定を行ってしまう。

集団が上記の3タイプのうちの1つあるいは複数に該当すると、以下のようなグループシンクの症状が現れます。

 ・代替案を十分に検討しない
 ・採用しようとしている選択肢のリスクを検討しない
 ・外部の意見や異論を無視する
 ・自分達に都合の悪い情報から目をそらす
 ・集団の決定に疑問を持たない
 ・集団の決定に異議を唱えられない
 ・非常事態に対する計画を策定できない

このような症状を防ぐためには、例えば会議参加メンバーを固定せず、時には他部署のメンバーや、外部の専門家に客観的な意見をアドバイスをもらったり、敢えて批判的な意見を出す時間を作ってみたりすることが有効です。
 
ご自身のチームやプロジェクトの会議について、集団浅慮になっていないか、一度客観的に見てみることをお勧めします。

 

Author 執筆者

南野真彦

南野真彦

株式会社新経営サービス 人材開発部シニアコンサルタント

大学卒業後、リクルートグループ企業においてクライアントの採用支援に従事。その後人事コンサルティング会社にて、中小・ベンチャー企業に対し、人材採用や若手の育成、人事制度の構築・運用に尽力。 株式会社新経営サービス入社後は上記に加え、理念経営の実践やチームワークの向上等、組織・人事面における幅広い手法を用いた組織開発コンサルティングを行っている。

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