今回は「メンバーのエンゲージメントを高める取り組み(後編)」と題し、前回同様実際に企業が行っているエンゲージメント向上施策について紹介します。
前編はこちら:https://skg-od.jp/column/5017/
■エンゲージメントが高い企業の取り組みⅡ
B社は、大阪にある金属加工を生業とする中小企業です。B社の社長は社員との関係性について、以下のように語っています。
「経営者と社員の間には川が流れている。問題はその川幅だと思う。うちの会社は、小川でせせらぎが聞こえるような状態。だから私も社員がいる対岸にすぐ渡っていけるし、社員も経営者がいる対岸にすぐ渡ってくることができる」
では、B社はいかにして経営者と社員の距離を縮めているのでしょうか。その方法の1つが「快適職場に向けての機器類個人購入」制度です。
制度の概要は以下のとおりです。
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<対象者>
・全社員
※但し、入社2年未満の社員は上長に相談すること。
その他の社員については自由裁量とする。
<購入対象となる機器類>
- 使用することで、より安全の確保がしやすくなるもの
- 〃 作業が楽になるもの
- 〃 作業環境が良くなるもの
- 〃 チームワークの向上に役立つもの 等々
<購入可能金額>
購入件数、品目数に係わらず、1名あたり総額20,000円を限度とする。
個人ではなく、グループで共同購入することも可能である。
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このように、各自が自由に仕事に必要な機械や工具を購入できるようにすることで、社員達は「経営陣は、自分達のことを大事に考えてくれている」と感じるようになっています。
なお、この制度を導入した際、事務系の社員達が「私達の2万円は現場の社員のために使って欲しい」と権利を譲渡したことが、社員同士の関係性の良さを物語っています。
■エンゲージメントを強くする12の要素
米国の調査会社であるギャラップ社では、働きがい、やりがいを感じて『熱意あふれる』社員が多く、『幸福度の高い組織』とはどのような状態であるか、1,000万人の顧客、300万人の従業員、20万人のマネージャーを対象に大規模調査を実施しました。
同調査の結果、企業と社員のエンゲージメント度合いを強く・堅くするのは、以下の12の要素であると特定できたと報告しています。
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1.私は仕事の上で、自分が何を期待されているかがわかっている
2.私は自分の仕事を正確に遂行するために必要な設備や資源を持っている
3.私は仕事をする上で、自分の最も得意とすることを行う機会を毎日持っている
4.最近1週間で、良い仕事をしていることを褒められたり、認められたりした
5.上司または職場の誰かは、自分を一人の人間として気遣ってくれている
6.仕事上で、自分の成長を励ましてくれる人がいる
7.仕事上で、自分の意見が考慮されているように思われる
8.自分の会社の使命や目標は、自分の仕事を重要なものと感じさせてくれる
9.自分の同僚は、質の高い仕事をすることに専念している
10.仕事上で、誰か最高の友人と呼べる人がいる
11.この半年の間に、職場の誰かが自分の進歩について、自分に話してくれた
12.私はこの1年の間に、仕事上で学び、成長する機会を持った
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前編でご紹介したA社は要素7を、B社は要素2を実践していることが分かります。
貴社の社員のエンゲージメントはいかがでしょうか?さらにエンゲージメントを高め、社員の意欲を高めていきたいという方は、ご紹介した内容を参考に、エンゲージ向上施策を実践してみてください。