ある企業の人事部長と、組織の課題について話をしていた際に、このような発言がありました。
「うちの社員達は個人商店のようになっていて、まとまりがないんです。」
「なんとか、“良いチーム”になって欲しいんですが・・・」
そこで私が、「部長の考える“良いチーム”とは、どういう状態ですか。」と質問をすると、明確な答えは返ってきませんでした。
目標が漠然としており、抽象的であればあるほど、その達成は難しくなります。
“良いチーム”を創るためには、“良いチーム”とはどのようなチームなのかを具体化する必要がありますし、“良い人材”を育成したいのであれば、“良い人材”とはどのような人材なのかを具体的にする必要があります。
企業における“良い人材”の定義が不明確で、各現場でのOJTに任せた結果、それぞれの現場の上司が“自分が思う良い人材”、“自分にとって都合の良い人材”になるように育成をしてしまい、主体性のないイエスマンばかりになってしまった、という残念な例もしばしば見られます。
それでは、“良いチーム”の定義とは何でしょうか。ある研究機関が、高い成果をあげたり、目標を達成したりしているチームの状態やその共通点を調べたところ、以下のようなことが分かりました。
- チーム意識が強く、全員が協力して業務が行われている
- チームとしての一体感が形成されている
- 個々の悩みや課題がすぐにチームで共有される
- 職位や経験に関係なく本音が言える
- どんな事を話しても否定されず、まずは受け入れられる
- 良いことも悪いことも話せるようになる
- 目標に対する達成意欲が高い
- 目標の内容や意義を理解し、納得している
- 自分達なら達成できるという自信がある
- 全員から様々な改善策やアイデアが出る
- 目標に対する本気度が高く、提案やアイデアが尽きない
- リーダーが指示をしなくても、メンバーが自主的に行動する
- 当事者意識を持って進める
- 「できない理由」を考えず、各自ができる方法を考えている
- 目標達成に対する責任感が強く、自分に出来ることは何でもやる
- リーダーシップを全員が持っている
- 自分たちで最適な体制を組み、協力して進もうとする
- 自ら進んで意思決定しようとし、リーダーに依存しない
あなたの管理している組織や所属している組織は、どれぐらい当てはまるでしょうか。
上記のような、それぞれが主体的に行動し、協力をしながら目標を達成したり、成果を生み出したりするチームは、放っておいても勝手にできるものではありません。逆に、放置したまま時間が経てば経つほど、メンバーはバラバラになっていきます。
特に、以下のような状態であれば、早急に手を打つ必要があります。
- 個人主義が強く、横の連携が少ない
- 自己防衛的で、周囲(特に上司や強い者)の顔色を窺う
- 目標に対し、“諦め”や“やらされ感”が強い
- 改善提案やアイデアなどは殆ど出ない
- 誰かが何とかするだろうと考え、行動しない
- すべての決定をリーダーに依存している
このような状態のチームや組織を、“死に体組織”と呼びます。
死に体組織から少しでも“良いチーム”に近づけていくために、まずはご自身の会社組織における“良いチーム”とはどのようなチームなのか、上記を参考に、是非考えてみてください。