変革リーダー養成プログラム
(ジュニアボード・プログラム)
- 対象者
- 次世代「経営陣」候補
- 推進形態
- 研修会&中長期経営計画策定プロジェクト運営
プログラムの狙い
会社に変革をもたらす「自律変化・創造型」
リーダーを数多く生み出す!
どんなに素晴らしい戦略・ビジネスモデルでも、時間の経過とともに陳腐化していきます。
ましてや、第4次産業革命、VUCAワールド、DX・・・が本格化していく、これからの時代においては尚更です。
ゆえに、企業存続・成長を果たすためには、戦略・ビジネスモデルを進化させつづける人材・組織をいかに創るのかが本質的なテーマといえるでしょう。
具体的には、2:6:2の法則という考え方があります。
一般的にいえば、企業組織においては、ハイパフォーマー2割、普通の求められる成果を出す6割、問題児の2割に分かれる傾向にあるというものです。
この2:6:2の法則を掘り下げて考えると、このように捉えられるのではないでしょうか。
技術・営業構造・ビジネスモデルなど会社や部門のコア・コンピタンスを創り、発展させていく、一言でいえば成果が上がる仕組みを創る2割、そして仕組みを活用して成果を上げていく6割、残念ながら仕組みをうまく活用できず、求められる成果が上げられない2割。
通常の階層別に求められるスキル・マインドセットを開発する教育は、一律実施がもちろん必要です。
しかし、変革期を迎える時代は、環境変化に適応すべく、先頭を切って市場・競合に向かい、「組織のコア・コンピタンスを創る2割の人材」を育成することが肝要です。
本プログラムでは、独自の育成・強化手法をもって、この2割の中核人材の「視座」「視野」「視点」強化をはかり、力量あるリーダー層を養成します。
「変革リーダー」養成プログラム( ジュニアボード・プログラム)全体概要
-
Ⅰ
事前準備
- 経営陣・人事部門への期待事項インタビュー
- プログラム参加者との個別面談(選抜メンバー)
- 主要事業所見学~業務フロー確認
- 各種業績データ、資料分析 など
-
Ⅱ
「マインドセット進化」研修
- 「変革リーダー」期待役割策定
- 期待役割の推進状況に関する360度多面評価実施
- 「マインドセット進化」グループ・カウンセリング(前期研修)
- 職場課題実践
- リフレクション&アクション・ミーティング(後期研修) など
-
Ⅲ
「中長期経営計画」策定
- キックオフ・ミーティング
- 外部環境変化予測 ~シナリオプランニング~
- 現状分析 ~歴史・財務・内部リソースなど~
- 基本・個別(機能)戦略~目標設定
- 年度アクションプラン策定
- ビジョン・ステートメント作成 など
-
Ⅳ
インテグレーション(浸透)・ワーク
- 中長期経営計画の組織キーマンへの発表
- プログラム参画メンバーと組織キーマンとの対話(ダイアローグ形式)
- クロージング など
「マインドセット進化」研修
①基本コンセプト
「成果は行動の影」といいます。中核人材として成長・進化を果たし、業績成果を上げていくためには、的を射たふさわしい行動を継続することが求められます。
では、組織の変革をリードしていくための望ましい行動を続けていくためには何が必要でしょうか。
もちろん、知識・スキルを磨くことは重要でしょう。
また、有益な情報収集を行うことも求められるでしょう。
ただ、本質的には、過去の体験から培われ固定化されている、物事の捉え方・考え方である「マインドセット」を変革リーダーに求められるものに進化・改善していくことが肝要です。
- 成功体験、固定観念に縛られることなく、変えるべきことは変えていくクリティカルな姿勢
- 未来に焦点を合わせ、緊急ではないものの、重要な課題を計画的に進める姿勢
- 新しいもの(事業・商品・仕組みなど)を具現化させるため、戦略的かつスピーディーに良い意味での失敗を重ねていく姿勢
本プログラムでは、こうした変革を導く者として必要な「心のスタンス」への進化を図る研修から行います。
②研修実施フロー
以下のステップで研修を実施します。
1st「期待役割」作成
自社において「変革リーダー」として求められる役割・要件を言語化して一覧表を作成。
2nd多面評価アンケート実施
1stで作成した期待役割の推進状況について、プログラム参加者本人(自己評価)、上位者、同僚、部下に対して多面評価アンケートを実施。
3rdマインドセット改善プログラム(前期研修)
2日間をかけて研修実施。多面評価アンケートの結果を踏まえ、自身の変革リーダーとしての課題を明確化し、改善・進化施策を検討。
4th課題解決実践
マインドセット改善プログラム(前期研修)で導き出された「パフォーマンス向上目標」獲得のための施策を各職場にて実践。
5thリフレクション&アクション ミーティング(後期研修)
4thの実践事項を3rdで共に「パフォーマンス向上目標」を検討したメンバーに報告。相互支援形式のミーティングを行い、さらなるマインドセット進化・パフォーマンス向上を図るための施策を検討。
③多面評価アンケート:イメージサンプル
中長期経営計画策定
①策定概要図
中長期経営計画策定は、現状から積み上げ型で考える「フォアキャスティング方式」ではなく、未来の環境変化・あるべき姿から逆算して考える「バックキャスティング方式」で検討していただきます。
よって、始めに外部環境変化の予測・分析から入ります。
この分析においては、多角的に複数の未来シナリオを検討して、精度の高い予測を導き出す「シナリオプランニング手法」を用いて行います。
現状分析においては、「歴史分析~自社DNA分析」「財務分析」「バリューチェーン分析」「組織マインドセット分析」「市場分析」などから貴社状況に合わせてテーマ選択をします。
尚、財務分析については、知見の高いメンバーの場合は別ですが、貸借対照表・損益計算書の見方についてのレクチャーから始めます。
基本戦略(事業ドメイン)・個別戦略の策定は、最終的に1年間のアクションプランにまで落とし込みます。
尚、変革をリードしていく中核人材育成が目的ですので、検討ミーティング後に毎回課題が課せられ、調査・分析・検討を実施いただくことになります。
②策定フェーズ概要
フェーズ |
テーマ |
検討概要 |
1 |
キックオフ・ミーティング |
- 「中長期経営計画」策定プロジェクトの主旨説明
- 「中長期経営計画」策定の意義、ゴールイメージ、策定手順、運営方法など確認
- 第1回会議概要、及び事前課題説明~簡易実施 など
|
2 |
シナリオプランニング |
- ステークホルダーの多角的検討~整理
- 〇年後に予想される自社を取り巻く外部環境変化の洗い出し
- 不確実性マトリックス作成
- ベースシナリオ、不確実シナリオ(複数)検討
- シナリオ別O・O&T・T分析
|
3 |
現状分析 |
- 歴史分析 過去の出来事~自社DNA~ストレングス検討
- 財務分析 貸借対照表・損益計算書概要の確認~課題抽出
- バリューチェーン(価値連鎖)分析 ※VRIO応用評価
- 組織マインドセット上の課題抽出などから個別事情を踏まえてフレームワーク選抜~検討実施
|
4 |
基本戦略検討 |
基本戦略検討
主に、誰に(どこに)、どのような価値提供を、どんな方法で事業を展開するのか?
勝負の土俵について、自社パーパス(存在理由)を踏まえ各種フレームワークを使用しながら検討 |
5 |
個別(機能)戦略検討 |
個別(機能)戦略検討
基本戦略を具現化する個別・機能別の戦略検討
- 既存事業「深化」戦略
- 新規「探索」戦略
- 「営業」「開発」「ビジネスモデル」「組織運営」戦略
|
6 |
業績目標設定 |
〇年後から逆算してロードマップ形式で業績目標設定
- 要約損益計算書もしくは主要指標(売上高、営業利益など)
- 要約貸借対照表もしくは主要指標(自己資本比率など)
- 販路・商品別の業績目標
- 事業・拠点別の業績目標 など
|
7 |
年度アクションプラン |
- 1年間における個別戦略到達目標~重点課題抽出
- 課題別主要政策の検討
- アクションプラン推進のための障害・阻害要因ピックアップ~解除方向性検討
- 捨てる会議 ~戦略推進のための時間資源創出検討~
|
8 |
ビジョン・ステートメント策定 |
ここまで検討してきた「中長期経営計画」が実現したときの状況を一言に集約して言語化。
※主に社員向けのメッセージとして |
インテグレーション(浸透)・ワーク
②策定フェーズ概要
インテグレーション・ワークの手順 |
Step 1 |
プロジェクト・メンバーより発表 ※終了後、メンバーは一旦退室 |
Step 2 |
グループ討議① 「プロジェクトに聞きたいこと」 |
Step 3 |
グループ討議② 「方針実現にあたって提案したいこと」 |
Step 4 |
グループ討議③ 「方針実現にあたって我々がすべきこと」 |
Step 5 |
グループ討議内容①~③の貼り付け ※終了後、社員は一旦退室 |
Step 6 |
メンバー入室、回答事項の検討 |
Step 7 |
メンバーより回答、全メンバーによる対話 |
Step 8 |
クロージング 今後の活動方向性について確認 |
導入事例
課題ビジネスモデル転換と幹部人材育成の同時推進
成功体験に縛られない若手・中堅管理職を抜擢し、
会社変革を推進させる。
② 組織運営状況・課題
- 規制緩和が決定し、数年内に、大手企業の資本系列など数多くの異業種からの新規参入が見込まれる状況であった。
この事態は、創業者を中心として、これまで創り上げてきた競争優位性が通用しなくなっていくことを意味していた。
- 内部状況においては、3年前に創業者から現社長に承継がなされていたものの、副社長はじめ役員は先代の子飼いメンバーであり、社長の弟である常務を除き、55歳以上と高齢化していた。
- 社長から観て、現役員の多くは、創業者と共に創り上げてきたビジネスモデルの成功体験に縛られており、会社を変革に導く新たな事業デザインを描き、推進していくことは厳しいとの判断をされていた。
- しかしながら、役員の直下である部長層も50代ばかりで、長年、創業者・役員と共に事業を担ってきた方々が占めている状況であった。
- 結果、数年後から本格的に始まる新たなステージに対応するため、中核となり変革を進めていく人材を若手・中堅の管理職層から選抜されて鍛錬していくことを決定される。
マネジメント力の強化に関して、座学よりも実践を通じて磨きたいという社長の想いから本プログラムの導入が決定された。
③ プログラム導入概要
以下の手順・概要で「変革リーダー養成プログラム」を推進
ステップ |
導入・実施手順 |
1st |
社長からのご相談
- 弊社主催の人材育成セミナーに参加された社長からご相談があり、複数回に亘り、弊社コンサルタントと会社変革・リーダー人材育成に関して意見交換実施。
若手・中堅管理職8名を抜擢して本プログラムを推進することを決定。
|
2nd |
事前準備
- 改めて社長に現事業概要、事業ビジョン、経営に対する想いなどのインタビューを実施。
- 会長、副社長、取締役2名の方への、今回の企画についての期待事項、及び選抜メンバーの状況をインタビュー。
- 各種資料・データの確認・分析、及び事業所見学、顧客対応場面の見学実施
|
3rd |
変革リーダーへの期待役割作成
- 弊社の雛形を基に、社長・常務・人事部長、及び担当コンサルタントが2回の会議で、中核人材として重点的に求められる役割要件・言動・マインドセットを言語化(22項目)。
|
4th |
多面評価アンケート実施
- 3rdで作成した期待役割22項目の現時点における状況について、アンケート実施。
- アンケート回答者は、本人、上位者3名(社長・人事部長・直属上司)、同僚管理職2~3名、部下3名以上の約10人前後。
- アンケートは4段階基準で回答。また本人を除き、期待事項を箇条書き形式で作成。
|
5th |
マインドセット進化研修
- 2チームに分かれて、研修としては前半2日間、後半1日間実施。
- 全ての時間において社長がオブザーバー参加され、一人ひとりの個性傾向・力量・マインドセット・課題などを把握。
- メンバーにおいては、会社を担っていく中核人材の“あるべき姿”を共有し、その状態に近づくための個別具体的な課題を設定。及び、進化をはかるための「最初の一歩」であるアクションプランを策定。
|
6th |
中長期経営計画策定
- プランの年度ターゲットは、8年後と定められ、5年・3年・1年のロードマップを明示していく形でまとめていくことを合意。
- バックキャスティング方式で、8年後のメガトレンドの調査・検討を行い、シナリオプランニング手法で外部環境分析を実施。
- 現状分析は、若手・中堅からの選抜でもあり、財務を中心に基本知識のレクチャーも行いながら内部・競合・市場分析を実施。
- 基本戦略(事業領域)に関しては抜本的な見直し。個別戦略については、新規探索戦略を中心に検討。
|
7th |
インテグレーション(浸透)・ワーク
- 役員、部長チームと各部門からの選抜メンバーチームの2チームに対して実施。
- 各チームからの意見も踏まえて、作成した中長期経営計画をブラッシュアップ。
|
8th |
フォローアップ
- 中長期経営計画は、各部門の計画に落とし込まれPDCAスパイラルアップを推進。
- プロジェクトチームは継続的に2か月に1回会議を実施~計画推進について検討継続。
|
④ プログラム導入効果
- 中長期経営計画のロードマップに沿った形で、既存事業戦略においては、主要ターゲット変更~ビジネスモデル転換。
新規探索戦略においては隣接市場-デジタル・マーケティング政策を中心に活動が展開されている。
- 中長期経営計画の発表は、毎年開催されているアワード(事業方針発表&優秀社員表彰会)にて実施。
当日の反応も客観的に観て良いものであったが、終了後にさまざまな席でプラス評価を受ける結果となった。
社員の多くが、大きな環境変化が起こる中、会社として先行管理が十分なされていることへの安心感が生まれたものと思われる。
- 若手・中堅の管理職が、納得できる経営計画を策定したことにより、「自分達もできる」という思いを醸成することにつながり、今回の経営計画から派生した、2つの「テスト・マーケティング」プロジェクトのメンバーを社内公募すると想定の倍以上の応募がなされた。
- 選抜メンバー8名においては、計画策定だけでなく、推進についての重要な役割を担わせている。
結果、良い意味で「机上」と「現実」は違うことを体感し、思考力に深みが増してきている。
また、いわゆる“同じ釜の飯を食った”同志であり、メンバーの関係性はかなり強くなり、彼らを中心として部門間の軋轢が解消され、協働が進んでいる。